ペットボトルのお茶が定番になったのはいつから?

 

 

 

東京

東京

 

 

♪飲み物を買いにゆく ついでにちょっと君にまた電話したくなった(作詞:岸田繁)♪は、くるりのデビュー曲『東京』(`98年)の歌詞。主人公は、東京に出てきたばかり。飲み物を買いに行く先は、コンビニなのか、もしくは自販機かわからないが、そのついでに離れた場所で暮らす彼女に電話をする。
 ちょっと飲み物を買いに行くという感覚は、とてもひとり暮らしっぽいシチュエーションだ。彼が買った飲み物を当時の飲料水市場から考慮し、500ミリリットルのお茶であったと推測してみたい。
 `95年までの清涼飲料水の主流は、炭酸飲料と缶コーヒーだった。だが、翌`96年を境に、清涼飲料水の主流分野は、お茶系飲料へと移行する。
 なぜ`96年か? この年にペットボトルの500ミリサイズが登場したのである。今では自動販売機において完全に主流の座を得たこのサイズのペットボトルは、この時期まで損沿いしなかった。
 アルミ缶が主流の時代は、技術的な障壁で緑茶は製品化しにくかった。だが、ペットボトルの登場でそれがクリアーされると、かつては紅茶とウーロン茶が中心だったお茶系飲料の主力は緑茶に移行。これが大ヒットし、一気にシェアは拡大。以降の分野別生産数の比率は、お茶系が30パーセント強、炭酸飲料と缶コーヒーがそれぞれ約15パーセント、以下、果実飲料、スポーツ飲料、ミネラルウォーターといったあんばいで推移するのだ。
 こんなに我々の生活に溶け込んでいる500ミリリットルのペットボトルだが、実は15年の歴史しかないのである。
 さて、くるりの歌には、他にも飲み物がよく出てくる。『ばらの花』にはジンジャーエールが登場、『麦茶』という曲もある。その甲斐あって、『チオビタ』のCMソングを手がけるようになる。京都出身のバンドなんだから、どうせならお茶系のスポンサーのCMをやればいいのに。