女性とメンソールタバコ

 メンソールタバコは大人の女性のもの。そんなイメージは、どこで生まれたのだろう。
 とんねるずの『歌謡曲』(作詞:秋元康)では♪メンソールの長い煙草を ため息で吸いながら 水割りのグラスの中に 落としたおまえの涙♪と、夜、大人、銀座のイメージが歌われる。
 中原めいこの『君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね』(作詞:森雪之丞)は、♪ドライなシェリー ちょいと誘われて 灼けつく恋の食前酒♪という大人と南国の香りのする歌。2番の歌詞は、♪煙草は薄荷(メンソール) 火を貸しただけ♪となる。
 実は、メンソール=女性のイメージが生まれたのは、ウーマンリブ運動の時代のこと。米のフィリップモリス社の新製品バージニアスリムは、スリムなフォルム、健康的なフィルター、メンソールの風味と、女性向けに開発された商品。広告コピーには“You’ve Come A Long Way,Baby!(長い道のりだったね)”とうたわれた。つまり、長く続いたタバコは男性のものという時代の終わりを宣言したのだ。この宣伝で、10代女性の喫煙率は2倍に拡大した。
 日本にバージニアスリムが入ってくるのも、女性の社会進出が進んだ`80年代。やはり、社会で活躍する女性を前面に出したCMが流れていた。
 だが、日本でもたばこのCMが自粛されるようになって久しい。この間に喫煙者のイメージも変化した。所得が低いほど喫煙率が高いという新聞記事が話題になった。年収600万円以上の女性では、6・4パーセントの喫煙率が、200万円未満だと、11・7パーセントに跳ね上がるという(読売新聞2月1日)。
 いまや喫煙は、むしろ仕事ができる女のイメージから遠ざかりつつある。

 

君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。 [EPレコード 7inch]

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